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(詐欺の行為の罪) 第一九七条 詐欺の行為により特許、特許権の存続期間の延長登録又は審決を受けた者は、三年以下の懲役又は三百万以下の罰金に処する。 (改正、昭六二法律二七、平五法律二六、平六法律一一六、平一五法律四七) 旧法との関係 一三〇条一号 趣旨 本条は、詐欺の行為の罪について規定したものである。旧法一三〇条二号から五号までは犯罪の性質が異なるので、別条に規定した。 詐欺の行為、たとえば、審判官を欺いて虚偽の資料を提出し、特許要件を欠く発明について特許を受けた場合などには国家の権威、機能が害されることになるので、刑罰規定を設けることにしたのである。前条旧二項とは異なり、本条の罪は国家的な利益を損害するものであるため、非親告罪とされる。審決のうちにその者の不利な審決を含むかにつちえは疑問であるが、審査の段階が特許査定と拒絶査定とがあるにかかわらず、特に特許査定を受けた場合のみを本条の刑罰の対象としていることから考えると、自己に利益になる審決を受けた場合が可罰の対象となり不利な審決を含まないものと解される。なお、旧法には「判決」という文字があったが、詐欺の行為によって判決を受けた場合は特許法のみの問題ではなく、民事訴訟法一般の問題であるので、本条からは除いた。刑の料については前条の場合と同じく他の立法例も勘案して二〇万円とされていたが、平成五年の一部改正において、一九六条と同様の理由により、三〇〇万円に改正された。 なお、平成六年の一部改正において特許後の異議申立制度が導入されたことに伴い、詐欺の行為により特許異議の申立てについての決定を受けた場合を処罰の対象とする旨の改正が行われたが、平成一五年の一部改正において、特許異議申立制度が廃止されたことに伴い、該当箇所を削除した。 [字句の解釈] <特許、特許権の存続期間の延長登録又は審決以外の処分>詐欺その他不正な手段により除斥、忌避の決定を受けたときはどうか。これらの決定はいずれも中間処分であるから、そのような決定が審決にも影響を与え、審決そのものが本条の構成要件に該当するにいたったときにはじめて刑罰の対象とすればとすれば足りる。刑罰法定主義の見地からしても、決定を受けた者を本条によって処罰することはできない。(青本第17版)
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(特許権の効力が及ばない範囲) 第六九条 特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には、及ばない。実意 2 特許権の効力は、次に掲げる物には、及ばない。実意 一 単に日本国内を通過するに過ぎない船舶若しくは航空機又はこれらに使用する機械、器具、装置その他の物 二 特許出願の時から日本国内にある物 3 二以上の医療(人の病気の診断、治療、処置又は予防のため使用する物をいう。以下この項において同じ。)を混合することにより製造されるべき医薬の発明又は二以上の医薬を混合して製造する方法の発明の係る特許権の効力は、医師又は歯科医師の処方せんにより調剤する行為及び医師又は歯科医師の処方せんにより調剤する医薬には、及ばない。(本項追加、昭五〇法律四六) 旧法との関係 三六条 趣旨 本条は、特許権の効力のおよばない範囲について規定したものである。特許権は絶対的な支配権であるが、種々な事情から限界を設ける必要がある。それは同じく絶対的な支配権である所有権である所有権について限界が設けられる理由と類似している(民法第二編第三章第一節)。 一項の試験又は研究のためにする特許発明の実施に特許権の効力がおよばないこととしたのは、試験又は研究がもともと特許に係る物の生産、使用、譲渡等を目的とするものではなく、技術を次の段階に進歩せしめることを目的とするものであり、特許権の効力をこのような実施にまでおよぼしめることは却って技術の進歩を阻害することになるという理由にもとづく。もっとも、効力のおよばないのはその試験又は研究のためにする実施に対してのみであって、試験又は研究の結果生産された物を業として販売する等の行為については当然特許権の効力はおよぶものと解される。六八条に規定するように、現行法においては特許権の効力の業としての実施以外の実施に及ばないので、試験又は研究のためにする実施の多くは一項の規定がなくとも業としての実施ではないという理由で特許権の効力が及ばないわけであるが、試験又は研究のためにする業としての実施ということもあり得ると考え一項の規定をおいてものである。 二項一号は、パリ条約五条の三にも規定されているところであるが、国際交通の便宜を考えて規定したものである。二項二号は、特許出願の時に存在する物にまで特許権の効力をおよぼしめるのは苛酷にすぎるので、このような規定がおかれたものである。もっとも、本号の規定の適用を必要とする事例はきわめてまれで、多くは当該発明はその物が特許出願前から存在することによって公知であるとされ、かりに特許になった場合においてもその物の所有者は七九条の規定による実施権を取得する場合が多いのである、結局、二項二号の存在理由がある場合としては、当該物を秘密に所持していて、その所持が当該発明の実施又は実施又は実施の準備には該当しないような場合である。 三項は、昭和五〇年の一部改正により医薬の発明及び医薬の混合方法の発明にも特許を与えることとしたことに伴って、新設された規定である。 従来、医薬の混合方法の発明に対しては特許が与えられていないので、薬剤師、医師等が調剤をする場合に行う医薬の混合については、特許法上の制約なく実施することができたが、改正により、医薬の混合方法の発明についても特許を与えることとした結果、調剤上の支障が生じないよう調整することが必要となったものである。 これは、調剤行為は医師又は歯科医師が交付する処方せんにより行われるべきものであるから、それを行う者(多くの場合薬剤師)は処方せんに従うしかなく、また、処方せんは、きわめて多種の医薬の中から当該病状に最も適切な薬効を期待できるように選択し調剤することを指示するものであるから、医師等はその都度その混合方法が特許権と抵触するか否かを判断することは困難であること、また、医師等の調剤行為は患者たる国民の健康を回復せしめるという特殊な社会的任務に係るものであること等を考慮した場合に、調剤行為にまで特許権の効力を及ぼすのは適当でないためである。 昭和五〇年の一部改正により、医薬自体の発明に対しても特許がされることとなるので、当該発明に係る特許権と調剤行為との関係が問題となるが、医薬自体は通常、特許の実施許諾を受けた医薬の製造業者によって製造され、正当に医薬等に販売されるものであるから、調剤の段階で特許権が問題となることはまれであること及び従来から製法特許による権利が及んでいる医薬との均衡を考慮して、医薬自体の発明に係る特許権との調整は行われなかった。ただ、混合方法によって製造されるべき医薬の発明については、調剤において単に混合するだけでそのような医薬ができることが多いので、これについても混合方法の発明と同様に扱うこととした。 [字句の解釈] 1 <医薬>特許法でいう「医薬」とは、薬事法の定義とやや異なっており、人の病気に用いるものに限っている点で薬事法より狭く、医薬部外品をも医薬とする場合がある等の点で薬事法より広い。 2 <処方箋>医師法または歯科医師法の規定に基づいて交付されるものであり、薬剤師、医師、歯科医師いずれであっても処方せんによらなければ調剤することができないこととされている。(薬剤師法一九条及び二三条)。(青本第17版)
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(審判における費用の負担)意商 第一六九条 特許無効審判及び延長登録無効審判に関する費用の負担は、審判が審決により終了するときはその審決をもつて、審判が審決によらないで終了するときは審判による決定をもつて、職権で、定めなければならない。(改正、昭六二法律二七、平五法律二六、平一五法律四七)実 2 民事訴訟法第六十一条から第六十六条まで、第六十九条第一項及び第二項、第七十条並びに第七十一条第二項(訴訟費用の負担)の規定は、前項に規定する審判に関する費用に準用する。この場合において、同法第七十一条第二項中「最高裁判所規則」とあるのは、「経済産業省令」と読み替えるものとする。(改正、昭四六法律四二、平八法律一一〇、平一一法律一六〇)実 3 拒絶査定不服審判及び訂正審判に関する費用は、請求人の負担とする。(改正、平五法律二六、平一五法律四七、平一八法律五五) 4 民事訴訟法第六十五条(共同訴訟の場合の負担)の規定は、前項の規定により請求人が負担する費用に準用する。(改正、昭四六法律四二、平八法律一一〇、平一八法律五五) 5 審判に関する費用の額は、請求により、審決又は決定が確定した後に特許庁長官が決定をする。実 6 審判に関する費用の範囲、額及び納付並びに審判における手続上の行為をするために必要な給付については、その性質に反しない限り、民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六条法律第四十号)中これらに関する規定(第二章第一節及び第三節に定める部分を除く。)の例による。(改正、昭四六法律四二)実 旧法との関係 一一九条、一一九条の二 趣旨 本条は、審判における費用の額について規定したものである。審判の種別が異なるのと対応して費用の負担を決定する方法もおのずから違ってくるわけであるから、一項、二項として無効審判に関する規定をおき、三項、四項においてそれ以外の審判に関することを規定した。すなわち、請求人と被請求人とが対立する無効審判にあつては、民事訴訟と同様に、その主張が容認されなかった者に審判の費用を負担させることが公平であると考えられるため、二項で民事訴訟法六一条以下の規定を準用している。旧法は準用条文を法律で規定せず、特許法施行令八条で民事訴訟法を準用していたが、事項の性質上法律事項と考えられるので、二項に準用条文に関する規定をおいた。民事訴訟法六一条は敗訴者負担の原則を定めたもので、無効審判においてもこれが原則となる。同法六二条、六三条は敗訴者負担の原則を適用することが妥当でない場合の例外規定である。六四条は一部敗訴の規定で、AおよびBの二請求項に記載された発明を包含する特許権について無効審判を請求し、A請求項に記載された発明については無効、B請求項に記載された発明については請求棄却の審決があったとような場合に適用がある。六五条は共同訴訟人が平等の割合で費用を負担すべきことを定めた規定である。六六条は参加にもとづく費用の負担についての規定で参加申請によって生じた費用の負担はこの条文によって処理される。六九条、七〇条は、一定の場合に当事者以外の者に費用を負担させる旨を規定している。七一条二項は費用額の決定をする場合の手続に関連したものである。 一項は、これらの条文を準用しながら審判に関する費用の負担を決定すべきことを定めたものである。すなわち、一般には審決によって定めるが、例外的に審判が審決によらないで終了する場合には審判の決定で定める。いずれの場合も申立てを待たずに職権で行う。審判が審決によらないで終了する場合とは、審判請求の取下げの場合などである。審判手続においては職権主義が支配し、当事者の自由な処分を許さないから請求の放棄、認諾、和解等のごとく当事者主義に固有の終了事由は存在の余地がないと考えられる。 なお、平成一五年の一部改正において、一二三条一項の審判及び一二五条の二第一項の審判を特許無効審判及び延長登録無効審判と規定する修正を行った。趣旨については一二一条を参照されたい。 三項は、無効審判以外の審判に関するものである。この場合は対立当事者が存在しないため、証拠調等の費用はすべて審判請求人の負担となる。四項はその場合の準用条文について規定している。 なお、平成一五年の一部改正において、一二一条一項の審判及び一二六条一項の審判を、拒絶査定不服審判及び訂正審判と規定する修正を行った。趣旨については一二一条を参照されたい。 このように一項から四項までの規定によって費用を負担すべき者が決定されるのであるが、負担すべき費用の額について請求人被請求人の間に争いがある場合には、請求によって特許庁長官が決定する。これが五項である。 六項は、費用の範囲等について民事訴訟費用等に関する法律の木知恵を準用したもので、同法の規定に従って具体的な費用等が決定される。従来は、民事訴訟費用法(明治二三年法律六四号)の規定を準用していたが、昭和六四年、同法が廃止され、それに代えて民事訴訟費用等に関する法律が制定されたのに伴い改正したものである。表現方法は、民事訴訟費用等に関する法律の表現にあわせたため、従来のものと異なっているが、実質的には従来どおりである。 なお、「審判に関する費用の納付」にはその費用の予納義務(民事訴訟費用に関する法律一二条)も含まれるので、二項及び四項では、従来同趣旨の規定を準用していたが、その必要はなくなった。 また、平成五年の一部改正において、訂正無効審判及び補正却下不服審判が廃止されたことに伴い、一項及び三項の規定から該当箇所を削除した。 さらに、平成八年の民事訴訟法の改正に伴い、準用する民事訴訟法規則の条番号の変更等が行われた(実質的な内容変更を行うものではない)。また、旧二項で準用していた旧民事訴訟法一〇一条[相手への催告]の規定については、手続の細目であることから規則事項となり、引き続き特許法に準用することができないため、これと同趣旨の規定を特許法施行規則に設けることとした。 また、平成一八年の改正時に、三項及び四項の「又は申立人」を削る文言の修正を行った。(青本第17版)
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(不当な手続の却下)実意商 第一八条の二 特許庁長官は、不適法な手続であつて、その補正をすることができないものについては、その手続を却下するものとする。 2 前項の規定により却下しようとするときは、、手続をした者に対し、その理由を通知し、相当の期間を指定して、弁明を記載した書面(以下、「弁明書」という。)を提出する機会を与えなければならない。 (本条追加、平八年法律六八) 旧法との関係 施行規則一〇条ノ二 趣旨 本条は、行政処分の適正化を目的として、出願人等が行った不適当な手続であってその補正をすることができないものについて、従前運用として行っていた不受理処分を「却下処分」として規定し、かつ、処分前に意見陳述の機会を与える旨の規定を新たに設けたものである。 一項は、特許庁長官が行う「却下処分」の根底を明文化したものである。これまでは、補正に適さない重大な要件の瑕疵がある場合(例えば、明細書を添付していない出願のようにそもそも出願の体をなさないもの)は、受理処分を拒否し当該手続の成立を否定する不受理処分を運用として行ってきた。裁判例(昭和四六年一月二九日東京地方裁判所民事第二九部判決・昭和四五年(行ウ)一〇六号)も法律上の明文の規定を要せずとも不受理処分に付し得る場合があることは法が当然に予定するところとしていたが、平成八年の一部改正において、行政処分の適正化及び平成五年に制定された行政手続法の趣旨(行政運営の公正の確保と透明性の向上を図り、もって国民の権利利益を保護する)を踏まえ、重大な瑕疵ある手続については、特許庁長官が出願等に係る手続書類を受理した後に却下する旨を明らかにしたものである。なお、本項により却下された出願は、従前の不受理処理となった出願の場合と同様、出願としての本質要件を欠いているものであるから、優先権を生じさせる 「正規の国内出願」(パリ条約四条A)とは認められない。 二項は、商法条約上の「官庁は、出願又は第一〇条から前条までの規定による申請に関し、却下し又は拒絶しようとすることについて合理的な期間内に意見を述べる機会を出願人又は申請人に与えることなく、その全部又は一部を却下し又は拒絶することができない。」とする規定 (同条約一四条)に対応し、特許法においても、不適法な手続であってその補正をすることができないものについて却下する場合には、事前に意見陳述の機会を付与することとしたものである。 [字句の解釈] <却下するものとする>特許法一八条(手続の却下)の規定では「却下することができる」としているのに対して、本条では「却下するものとする」としているのは、本条では、「却下するものとする」としているのは、本条が不適法でかつ補正不能な手続についての却下処分の原則的な規定であり、そのような手続については他の方法をとる裁量の余地がないことによる。(青本第17版)
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(調書)実意商 第一四七条 第百四十五条第一項又は第二項ただし書[審理の方式]の規定による口頭審理による審理については、審判書記官は、期日ごとに審理の要旨その他必要な事項を記載した調書を作成しなければならない。(改正、平一一法律四一) 2 審判書記官は、前項の調書の作成又は変更に関して審判長の命令を受けた場合において、その作成又は変更を正当でないと認めるときは、自己の意見を書き添えることができる。(本項追加、平一一法律四一) 3 民事訴訟法第百六十条第二項及び第三項(口頭弁論調書)の規定は、第一項の調書に準用する。(改正、平八法律一一〇、平一一法律四一) 旧法との関係 施規六〇条 趣旨 本条は、調書の作成について規定したものである。調書は口頭審理における審理の要旨その他の必要な事項(たとえば、出頭した当事者、代理人等の氏名、証人の宣誓、陳述等)を記載し、後日の資料、証拠に供するものである。 一項は、口頭審理による審判には、その期日毎に、審判書記官が参加し、調書を作成しなければならない旨を規定し、審判書記官を口頭審理の手続の適法性を公証する機関として位置づけている。 二項は、平成一一年の一部改正により追加された規定である。 審判長は審判の事務を総理することとされていることから(一三八条二項)、審判長は審判書記官の上位機関として位置づけられることになるので、審判長からの調書の作成又は変更に関して命令を受けた場合には、審判書記官はその命令に従い調書の作成又は変更を行うこととなるが、その作成、変更が正当でないと認めるときは、自己の意見を書き添えることができることを規定し、審判書記官の調書作成についての独立性を明確にした。 三項は民事訴訟法の調書に関する規定の準用規定である。すなわち、民事訴訟法一六〇条二項は当事者等の異議についての調書への記載に関する規定であり、同条三項は調書の証拠力に関する規定である。 なお、平成八年の民事訴訟法の改正に伴い、調書に裁判所書記官が署名捺印し、裁判長が捺印する部分については、調書の作成に際しての方式を規定するものであり、手続の細目であることから規則事項とすることとされたが、特許法においてもこれと同様に類似の規定である本条旧二項について、調書に審判長及び調書を作成した職員が記名捺印する部分を規則事項とすることとし、同項を本条から削除することとした。 また、本条旧三項については、平成八年の民事訴訟法の改正に伴い、準用する旧民事訴訟法一四五条[書面等の引用添付]の規則事項への移行、民事訴訟法一四六条一項[調書の読み聞かせ・閲覧]の削除、旧民事訴訟法一四六条二項及び一四七条については条番号の変更が行われた(実質的な内容変更を伴うものではない。)ことにより、民事訴訟法一六〇条二項及び三項を新たに準用した上で、二項の規定へと移すこととし、旧民事訴訟法一四五条と同旨の規定を特許法施行規則に設けることとした。(青本第17版)
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(特許証の交付) 第二八条 特許庁長官は、特許権の設定の登録があつたとき、又は願書に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは図面の訂正すべき旨の審判が確定した場合において、その登録があつたときは、特許権者に対し、特許証を交付する。(改正、平六年法律一一六、平一四法律二四、平一五法律四七) 2 特許証の再交付については、経済産業令で定める。(改正、平一一法律一六〇) 旧法との関係 六二条、施規七一条、七二条 趣旨 本条は、特許証の交付について規定したものである。特許証を交付する場合としては、特許すべき旨の査定又は審査があって特許権の設定の登録があった場合及び明細書等の訂正をすべき旨の審決が確定した場合があげられる。このうち、後者については訂正した明細書等の内容に係る特許証を交付するものである。二項の特許証の再交付については、特許法施行規則六七条において「特許証をよごし、損じ、または失ったときは、特許証の交付を受けた者は、特許証の再交付を請求することができる。」ことを規定している。 なお、平成六年の一部改正において、特許異議の申立てに係る手続において明細書又は図面の訂正を認めることとした(旧一二〇条の四第二項)ことに伴い、訂正すべき旨の決定が確定した場合に特許証を交付するように一行を改正したが、平成一五年の一部改正において、特許異議申立制度が廃止されたことに伴い、訂正をすべき旨の決定が確定した場合に関する規定を削除した。 また、平成一四年の一部改正において、三六条二項の「明細書」から「特許請求の範囲」が分離されたことに伴い、本条にも同様の修正が加えられた。 [字句の解釈] 1 <特許権の設定の登録>六六条二項参照 2 <特許証>特許証は、本条に規定する場合に交付されるわけであるが、その特許証がない場合は特許権者であることを主張することができないという性質のものではない。また特許証を譲渡することは特許権を譲渡したことになるわけでもない。したがって、特許証を有する者を誤って特許権者と信じて取引したとしてもその信じたことについて法律上別段保護されるわけでもない。結局、特許証の交付は半ば歴史的なものであり、半ば名誉を表示するためのものであるということができる。(青本第17版)
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(再審の請求) 第一七一条 確定審決に対して、当事者又は参加人は、再審を請求することができる。(改正、平六法律一一六、平八法律一一〇、平一五法律四七) 2 民事訴訟法第三百三十八条第一項及び第二項並びに第三百三十九条(再審の事由)の規定は、前項の再審の請求に準用する。(改正、平八法律一一〇) 旧法との関係 一二一条 趣旨 本条は、再審の請求について規定したものである。 再審は本来訴訟法上の概念であり、判決が確定した後に、特別の理由にもとづいて認められる非常の不服申立方法である。確定判決を争わせることは法的安定性を害するから一般的には許すべきではないが、全く不服申立の途をとざしてしまうと、具体的妥当性の要請に反する事態を生ずるおそれがあるので、訴訟手続の重大な瑕疵等一定の理由がある場合に限定して再審の容認している。特許法も明治四二年法までは再審の規定を欠いていたが、確定審決を絶対不変のものとすることが妥当でないのは確定判決の場合と全く異ならない。このような理由により、旧法ではじめて再審の章が設けられた。 一項は、「確定審決」に対するものであり、したがって、審判の確定審決に限らず再審の確定審決に対しても、再審理由があるときには再審の請求をすることができる。旧法においてすべての確定審決が再審の対象となるのではなく、請求人と被請求人が対立して争ういわゆる当事者系の審判、抗告審判の確定審決についてのみ再審が認められたにすぎない。拒絶査定不服の抗告審判の確定審決等に再審の請求をすることができないのは法的安定性の要求が強いためと説明されていたが、当事者系の審判と区別する根拠が薄弱なので、すべての審判について再審を認めることにした。 また、平成八年の民事訴訟法の改正に伴い、従来文理上疑義のあった、訴訟の結果につき利害関係を有する第三者は、補助参加の申出と同時に再審の訴えを提起することができることが、法文上明確にされた。特許法において旧本条に規定されたように、再審の請求ができるのは当事者に限られており、参加人(ここでは審判に参加する資格を有する者をいう。参加の形態については一四八条一項及び一四八条三項を参照。)は再審の請求はできなかったが、特許法に再審制度が設けられた趣旨からして、参加が可能な審判については、その再審請求についても民事訴訟と同様の請求適格とすることが望ましいと考えられるため、民事訴訟法の改正に伴い、参加人も再審の請求ができることとした。すなわち、一四八条三項に規定される参加は民事訴訟法四二条の補助参加に相当するものであり、これについては民事訴訟法と同様に利害関係を有する者の事後的な救済を図るため再審の請求を認めることが適当と考えられる。また、一四八条一項に規定される参加については、利害関係人であれば無効審判を請求することも可能ではあるが、他の審判請求人が無効審判を現実に有力な証拠で請求していながら、再審事由となる手続の瑕疵などで無効を勝ち取れなかったような場合には、一事不再理が働くため、以後の無効審判請求が認められず、無効となるべき権利が存続してしまうことも想定されるので、再審請求により救済できるようにすることが望ましい。 二項は、再審の理由について規定したものである。再審の制度は法的安定性を害するものであるから、看過することができないような重大な手続の不備違背等の理由が存在しなければならないとしたのである。民事訴訟法三三八条一項は、再審の理由を一号から一〇号まで限定的に掲げている。たとえば、法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと、法定代理権がなかったこと、判決に関与した裁判所が事件について職務に関する罪を犯したことは、いずれも再審の理由である。同条二項は、たとえば、裁判官の職務犯罪が理由とする再審に請求は、有罪の判決又は過料の裁判が確定したとき等にのみすることができるとしている。同条三項は「控訴審において事件につき本案判決をしたときは、第一審の判決に対し再審の訴えを提起することができない。」という規定であるが、民事訴訟法における控訴審に相当する抗告審判の制度を現行法では認めなかったので、準用する余地がなくなった。民事訴訟法三三九条は「判決の基本となる裁判について前条第一項に規定する事由がある場合(同項第四号から第七号までに掲げる事由がある場合にあっては、同条第二項に規定する場合に限る。)には、その裁判に対し独立した不服申立ての方法を定めているときにおいても、その事由を判決に対する再審の理由とすることができる。」とするが、これを準用することにより、参加拒否の決定等の中間処分に再審理由がある場合にも確定審決に対して再審を請求することがなる。 なお、本項は平成八年の民事訴訟法の改正に伴い改正されたが、これは、準用する民事訴訟法規定の条番号を変更したものであり、実質的な変更を伴うものではない。 また、平成六年の一部改正において特許後の異議申立制度が導入されたことに伴い、決定取消に対する再審の規定が追加されが、平成一五年の一部改正において、特許異議申立制度が廃止されたことに伴い、該当箇所を削除した。(青本第17版)
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まったりブログ 時間が出来たので トレーニングにトライしています 努力中の私の 毎日を書いていきます 立ち読み大歓迎です(*^_^*)
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(秘密を漏らした罪) 第二〇〇条 特許庁の職員又はその職にあつた者がその職務に関して知得した特許出願中の発明に関する秘密を漏らし、又は盗用したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 (改正、平五法律二六) 旧法との関係 一三三条 趣旨 本条は、秘密を漏らしたについて規定したものである。従前は、国家公務員が職務上知ることができた秘密を漏らしたとき、国家公務員法一〇〇条違反になり、同法一〇九条によって一年以下の懲役または三年以下の罰金に処せられた。いうまでもなく特許庁の職員も国家公務員であるから同法の規定の適用を受けるわけであるが、ただ同法には発明の盗用を罰すべき旨の規定がない。また、特殊の事務に従事する者が職務上知得した秘密を漏らした場合には、国家公務員法よりも重い刑罰を科することにしている立法例も少なくない。こうしたことを考慮して本条の罰金は五〇万円以下(平成五年の一部改正において改正)とし国家公務員法とは別に規定を置くこととしたのである。旧法には「事業上ノ秘密」も規定されていたが、これは特許出願特有のものではなく他の行政官の場合と同じものと考えられるもので、国家公務員法で措置することとして本条からは削除した。 なお、平成一九年に国家公務員法が一部改正され、同法一〇九条の罰則が「一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」に引き上げられたため、現在は特許法二〇〇条の罰則と国家公務員法一〇九条の刑罰とは同じになっている。(青本第17版)
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(存続期間) 第六七条 特許権の存続期間は、特許出願の日から二十年をもつて終了する。(改正、平六法律一一六) 2 特許権の存続期間は、その特許発明の実施について安全性の確保等を目的とする法律の規定による許可その他の処分であつて当該処分の目的、手続等からみて当該処分を的確に行うには相当の期間を要するものとして政令で定めるものを受けることが必要であるために、その特許発明の実施をすることができない期間があつたときは、五年を限度として、延長登録の出願により延長することができる。(本項追加、昭六二法律二七、改正、平五法律二六、平一一法律四一) 旧法との関係 四三条 趣旨 本条一項は、概括的にいえば、特許権の存続期間を定めたものであるといえるが、より正確にいうならば、特許権の存続期間の終期を定めたものである。すなわち、特許権が発生するのは前条一項に規定するように特許権の設定の登録のあった時であり、その特許権の存続期間は本項の規定により出願日から起算して二〇年をもって終了するのである。 本項は、平成六年の一部改正において、TRIPS協定三三条の「保護期間は、出願日から計算して二〇年の期間が経過する前に終了してはならない」旨の規定を受けて改正されたものであり、従来は、「特許権の存続期間は、出願広告の日から十五年をもつて終了する。ただし、特許出願の日から二十年をこえることができない」と規定されていた。この規定中本文は旧法と変わりないが、ただし書は現行法制定時に、次のような旧法下における弊害を除こうとして設けられたものである。 (1)たとえば、ある特許出願について出願公告前に拒絶査定がされ、さらに不服で審判を請求しさらに訴訟に持ち込んで最終段階において原査定が取り消されその後ようやく出願公告がされるようなことがあると、特許出願がされてから五年以上も経過していることがある。それからさらに一五年の存続期間を認めるということになると社会一般の蒙る迷惑は少なくない。すなわち、特許出願後二〇年以上も経過し社会の技術水準からみてさほど高くもなくなった発明についてなお引き続き独占権が行使されることになり、本来社会の技術進歩のための制度であるべき特許制度が技術進歩の障害となりかねないこと。 (2)また、旧法の下においては、出願人が存続期間の終了時期をなるべく将来にのばすために出願公告の時期を遅らしめようとして審査の促進に協力しようとしない場合も生じたこと。 平成六年の一部改正のいては、TRIPS協定の規定に従うことに加え、こうした旧法下における問題点や制度の国際的調和の観点を考慮し、現在のような規定に改正されている。 二項は、昭和六二年の一部改正により新設された規定であり、一定の要件を満たす場合には、一項の規定にかかわらず特許権の存続期間を延長することができる旨を規定するものである。 特許制度は、発明に係る技術の公開の代償として一定期間その権利の専有を認め、これによって発明を保護しつつ、一般の利用に供し、もって産業の発展を図ることを目的としているが、一部の分野では、安全性の確保等のための政府の法規制に基づく許認可を得るに当たり所用の実験によるデータの収集及びその審査に相当の長期間を要するため、その間はたとえ特許権が存続していても権利の専有による利益を享受しえず、その期間に相当する分だけいわば特許期間が侵食されているという問題が生じた。このような法規制そのものは、その趣旨からして必要欠くべからざるものであるが、その結果として、当該規制対象分野全体として、かつ、不可避的に、本来享受できるはずの特許期間がその規制に係る期間の分だけ享受し得ないこととなっている。しかも、これらの規制審査期間の短縮にも、安全性の確保等の観点からおのずから限界がある。こうした事態は、特許制度の基本にかかわる問題であるため、昭和六二年の一部改正において、特許権の存続期間の延長制度が創設された、延長対象を、特許発明に限ったのは、次の二つの理由による。第一には、本制度は、「特許権の存続期間の延長制度」であり、特許法上、特許権の存続期間は、特許権の設定の登録の日に始まると規定されているためである(六六条一項)。第二には、他の分野の発明との公平性の問題である。すなわち、仮に、出願公開の日又は出願公告の日から起算することとすると、本延長制度の対象として政令指定された分野については、特許の審査・審理に要した期間(特許権の設定の登録前の期間)についても部分的に存続期間の延長の対象とされることとなり、一般の政令指定されない分野については特許の審査・審理に長期間かかれば特許権の存続期間は短くなるにもかかわらず期間延長の対象とはならないのと比べ、公平性を失することとなるためである。 延長制度の対象分野である政令で定める処分は、特許法施行令第三条において、薬事法の承認及び農薬取締法の登録が規定されている。 なお、本条には従来、追加の特許権が独立の特許権になった場合の存続期間の規定(昭和六〇年の一部改正で削除)や明細書又は図面の補正が要旨変更であると認定されて特許出願の時点が繰り下げられた場合の存続期間の規定(平成五年の一部改正で削除)が設けられていたが、いずれも削除されている。 [字句の解釈] 1 <安全性の確保等を目的とする>「安全性の確保等を目的とする」という字句は、「法律」の具体的イメージを表現するために、例示したにすぎないものであり、「等」の内容は「安全性の確保」により限定されるものでないから、法律の目的の内容いかんによって、政令指定されるか否かが変わることはない。 2 <的確に行うには相当の期間を要するもの>「当該処分の目的、手続等からみて当該処分を的確に行うには相当の期間を要するものとして」と規定したのは、その処分の目的をきちんと達成するためには、どんなに早く手続を運んでいっても、やむを得ず、相当の期間を要してしまうものに限って対象とするという趣旨を明らかにしたものである。 3 <特許発明の実施をすることができない期間があったとき>特許期間は、排他的実施権たる特許権に時間的制限を設けることにより、発明の保護と利用の調和点を見出すものである。昭和六二年の一部改正により導入された措置は、安全性の確保等の法規制の処分を受けるに当たり、所要の実験・審査等に長期間を有することにより特許発明の実施ができない分野について延長を行うものであるが、その目的は、このような要件に該当する分野については、発明の保護に著しく欠ける現状となっており、あまりにもこれを利用する側の立場が有利となっていることに鑑み、発明の保護を手厚くすることによって、その利用との均衡を図ろうとするものである。制度導入当時は、延長登録出願の極端な増加は重要な発明の審査遅延をもたらすこと、政府規制をクリアにするためには、通常であれば二年間程度はかかることに鑑み、実施をすることができなかった期間が二年以上のものに限り延長を認めるとしていた。しかしながら、存続期間の延長制度を採用する欧米と比較すると、二年未満の延長を認めない点は我が国固有のものであり、このような制限を設けていない欧米と比べ、特許権者を充分保護しているとは言い難いこと、及び本制度導入から一〇年以上経過したが、その間、延長登録出願の件数も一定に維持させており、極端な増加のおそれはなくなったことから、平成一一年の一部改正において特許発明を実施することができなかった期間があるときは、特許権の存続期間を延長をすることができることとした。 4 <五年を限度として>昭和六二年の一部改正により導入された特許期間の延長制度は、一項の例外、制度導入当時でいえば、平成六年の一部改正前の一項ただし書の「ただし、特許出願の日から二十年をこえることができない。」の例外を形成することとなるものである。この従来のただし書の規定は、出願公告が遅れたために特許権の終期が咲きに不当に延びることによる弊害を除くために設けられたものである。よって、本延長制度を創設するに当たっても、特許権の存続期間の満了日は特許出願の日から無制限に長くなることのないよう手当てしなければならないため、五年を上限とした。現在の一項の規定においても、従来の一項ただし書の規定の趣旨は踏襲されているので、この点に変わりはない。なお、アメリカ、欧州及び韓国の期間延長制度も五年の上限を設けている。(青本第17版)